フリーランス歴20年・大ベテランへのインタビュー第二弾

こんにちは!株式会社エムズクリエイティブシステム(MCS)の広報です。
前回に引き続き、社員ではなく、業界歴20年以上の大ベテランである、フリーランスのTさんにインタビュー。
第二弾は、20年以上のベテランの目から見た業界の変容についてお話を伺いました。

第二弾トピックス: フリーランスを約20年やっていて、変わってきたこと

【業界全体】

Tさん: フリーランスだからという話ではないですが、業界的に働き方は変容してきているなと感じます。昔は終電徹夜が当たり前で、その分働き方的にも時間的にも縛りがなく「ものさえ作っていれば文句は言われない」という感じでした。昼から会社に行っても残業して業務で成果を出せばOKであったり、テレワークが無い時代だったので、現場(勤務地)が変わるたびに引っ越すだったりとか、仕事しやすい環境を個々人が自由に作っていた時代だったと思います。
今はIT市場の成熟とともに、個々人の「働きやすさ」を会社が考えてくれる時代になったので、フリーランスですら残業はあまり推奨しないという企業も増えてきていますね。分業化がうまく成熟してきている分、周りとの連携しやすさという点でも「決められた時間内に処理する能力」が求められる時代になったと感じています。同時に、分業時の円滑な連携のために、コミュニケーション能力も昔より多く求められていると思います。

【案件獲得のしやすさ】

Tさん: 世の中の景気に合わせて常に変容している印象です。ここ何年かは売り手市場が続いていますが、リーマンショック後(2009年頃)は仕事がないという時期もありました。幸い、フリーランスとして仕事が全く無くなるということはありませんでしたが、そこは個々人の技術レベルによって差があるかもしれません。
仕事を斡旋してくれるエージェントという視点で見ると、昔から小さいエージェント企業は沢山ありましたが、三次請けや四次請けが多く、抜かれる金額が多かった印象です。今はそのエージェント企業の中で生き残った大手が更に大きくなり、昔に比べてややシステマティックで、質の良いエージェントが目立つようになってきたと思います。

【働き方の自由度】

Tさん: 20年程前だと、社風によってはフリーランスでも終電まで残業するのが当たり前という所もありましたが、今は業界全体で残業が激減しています。その他の点については、コロナ後に業界全体としてリモートワークが劇的に増えたという以外、あまりフリーランスの働き方に変化は無いかなという印象です。

【周囲のフリーランス率は変わった?】

Tさん: あまり同業の友人が多くないので、感覚値になりますが、比率に関してはそこまで変わった印象はありません。会社員からフリーランス転向はそこそこ見てきましたが、フリーランスから会社員転向(出戻り含む)を見ることは少ないです。

【フリーランス志望者の変容について】

Tさん:  昔に比べて正社員信仰も落ち着いてきていることもありますが、実際の志望者の数はさておき、今は「フリーランスで稼ごう」と広告で打ち出していたり、大手を除いた日本社会全体であまり正社員を欲しがっていない、雇用側がフリーランスを歓迎している風潮がある気がしています。
若手でお金が欲しい人は「会社員より多く貰えるから」と、その波に乗ってフリーランスになりたがる方も多いと思いますが、会社員時代にあった社会保険・厚生年金等の保証がないリスクや、単価が今後どう変わるか分からない不定要素もあります。今後10年、20年と継続して仕事を貰うためにスキルを磨き続けられるか、今は売り手市場が続いているものの、いずれ供給過多になる可能性など、そういったリスクもあるので、志望する方はしっかり考えた方がよいと思います。

【20年前と今の単価・求められるスキルの違い】

Tさん: 金額はどの程度仕事ができるかという点と、需要と供給のバランスで決まるものですが、今は売り手市場な分、20年前と比べて同レベルの技術でも2割ほど上がっている気がします。ただ、売り手市場が落ち着けばまた単価も下がると思いますね。
具体的なスキルについては、この20年で新しい技術が想像以上のスピードで進化し続けている分、当然20年前と同様の知識・スキルだけでは通用しない仕事もありますが、「常に新しい知識を取り入れ続ける姿勢」については20年前も今も同様に求められる素養だと思っているので、そこはあまり変わりませんね。

【20年前と今とで、若手に求められる事は変わった?今は通用しないことなどはある?】

Tさん: 我々の若い頃は上司や先輩に椅子を蹴られるなんてことが当たり前にありましたが、流石に無くなったと思います。若手に求められることは当時も今もあまり変わっていないと思います。教えてもらうのが当たり前ではなく、自分が教える側にも回るという事を意識して、業務や勉強に挑む姿勢は自分の若い頃から求められていました。
私の新卒時代は、毎朝30分早く来て、色んな技術を先輩にレクチャーしてもらって、次の年に後輩が入ったら、今度は自分が後輩にレクチャーする側になる、という事をやって勉強させてもらいました。教わる側だけじゃなくて、教える側に立つことで復習もできたし、いつまでも「若手」じゃないよという意識を教えてもらったと思います。
また、今自分が上の立場になって思う事としては、若い子がベテランから一方的に物を言われたりするのはきついだろうな、ベテランだと意見し辛い事もあるだろうなと言う点ですね。これは「昔に比べて今の若者は~」とかではなく、昔も今もベテランへの声のかけづらさや、やりづらさは同じだと思ってます。なので、なるべく声のトーンで理解度をはかったり、汲み取るようにベテラン側も努力すべきだと思います。委縮したり遠慮したりせずにガンガン上の人に興味を持って喋れる若手は、昔も今も変わらず、知識の吸収が早くて強いと感じます。

【最後に、フリーランスを目指す人に一言】

Tさん: フリーランスに舵を切る前に、今一度視野を広く持って考えて欲しいです。今の自分から見た視野や「なりたい」「やりたい」だけでなく、社員のメリットを甘く見積もっていないか?続けられるのか?メンタルも含めて、自分で健康を維持できるか?ちゃんと総合的にじっくり考えられる判断材料を持ってから、考えて欲しいなと思います。
フリーランスに必要な事は別で記載した通りですが、前向きに頑張るだけでなく、健康は本当に大事にして欲しいと思っています。フリーランスは、体調を崩しても傷病手当や失業保険が無いので、ストレス等のメンタル面を含めて、自分で健康を維持する必要があります。なので、前向きに頑張るのも勿論大事ですが、息抜きをするのも大事。楽しく仕事が続けられるようになるのが一番です。心と体を大切にして、楽しく続けられる道を考えてください。

今回はフリーランスのTさんにお話を伺いました。
MCSでは正社員からフリーランス、フリーランスから正社員への転向も大歓迎。
独立を目指しながらキャリアを積みたい、フリーランスと正社員どちらも体験して決めたいという方、
是非一度、面談にいらしてください!